一九九四年は、ネット企業の歴史を振り返るうえでとても大事な年だ。その理由は大きく二つ。一つは、プロバイダ事業者が登場した年だからだ。「プロバイダ事業者」とは、インターネットに接続するためのネットワークサービスを提供する事業者のこと。普段当たり前のようにインターネットを利用しているため、ついつい忘れてしまいがちだが、プロバイダ事業者がインターネットに接続してくれるから、私たちは何の不自由もなくインターネットを利用することができる。つまり、インターネットを利用するうえで、プロバイダ事業者はなくてはならない存在ということになる。思い出してほしい。ネット企業最大の特徴は、インターネットを事業の柱に据えていること。つまり、ネット企業にとって、インターネットはヒト・モノ・カネ以上になくてはならない大事なものだということ。インターネットなしで、インターネットを使った事業を始めることなど無理な話だ。つまり、インターネットを利用するうえでなくてはならないサービスを提供しているプロバイダ事業者は、ネット企業が事業を始めるうえでもなくてはならない存在だということになる。プロバイダ事業者がいなければ、いくらネット企業を名乗っていたとしても、インターネットを使った事業をやることなどできないから。だから、「プロバイダ事業者あってのネット企業」と言っても過言ではない。
自動車ならばどんな形式があるか、価格はどうか、色はどんなものがあって、どんなオプション部品があるのか、など。自動車を買おうというときにはいろいろなことが知りたいものですが、これを従来のカタログで実現しようとするのはたいへんです。不可能ではないかもしれませんが、一附で何千円もするようなものになっては実用的とはいえないでしょう。インターネットではそれが可能で、しかも基本的なコストは変わらない。これは宣伝メディアとしては革命的なことです。さらに、チェックイン・レジストレーション(情報を得るときに、自分自身に関する情報を示すこと)を要求することによって、その情報を求めてきた人についての細かいデータを集めることが簡単にできる。情報を提供するときに、こうした手続きをもうけることには是非の議論があるかもしれませんが、これまでも多くの人は、自分がどういう人であるかというアンケートには比較的よく応じてきたことを考えれば、広告メディアとしてはそれほど心配はいらないように思えます。
双方向性を活かした取り組みにはさまざまあるが、その中で最近注目を集めているのが、ネットの利用者が過去に訪れたサイトや閲覧、検索した商品・情報・サービスの履歴をもとにその個人の嗜好を分析し、興味があると思われる広告を配信する「行動ターゲティング」と呼ばれる広告商品である。ご承知のように、ウェブサイトというのは「リンクの固まり」のようなもので、広告は、マス4媒体のようにコンテンツの中に埋め込まれているのではなく、別の専用サーバー(アドサーバー)から配信され、サイトの全体は、利用者のブラウザ上で初めて構築される。そのため、アドサーバー側からブラウザの履歴など属性が特定できれば、利用者ごとにカスタマイズした広告の配信(表示)が可能となる。ごく簡単に言えば、エコロジーに関心のある利用者がクルマのウェブページを見ていればハイブリッドカーや低燃費のクルマの広告が配信され、家電製品ページに遷移すれば、エコマークのついた家電が自動表示される、という具合である。これが行動ターゲティングの基本的な考え方である。