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客からビルをプレゼントされたカルティエ

19世紀から貴婦人たちを魅了してきた、カルティエのアクセサリー。ジュエリーとして質が高いというだけでなく、つぎつぎに生みだすデザインが、社交界の話題の中心となって時代をつくってきた。宝石といえばダイヤモンド、という人気が一段落し、真珠の落ち着いた輝きが評価を高めていた時代、カルティエはニューヨークに支店をだした。ロンドン支店についで海外で2番目だ。各国の王室御用達として、権威を保っていたブランドが、新勢力アメリカの経済力を見こんで出店したと考えていい。たしかに、第一次世界大戦後のアメリカは豊かだった。歴史は浅く、王室も貴族もいなかったが、金持ちの顧客がいた。その最高ともいえるのが、大富豪のモートン・F・プラント夫人だ。1917年、彼女はカルティエから2連の真珠ネックレスを購入した。その代金がわりにカルティエに贈ったのが、マンハッタンの屋敷だった。現在のカルティエニューヨーク5番街店である。ルネサンス式のこの建物は、いまニューヨーク市の記念物にも指定されている。それにしても、ネックレスの代価に邸宅を一軒贈るなどさすが大富豪と感心してしまうが、これは夫人がそれほど喜んだからというほかにも、理由がある。このころの真珠は、養殖技術の成功を見る前の天然物ばかり。カルティエは、ブランドにふさわしい最上級の真珠を得るために、ペルシャ湾にまでもでかけていたというから、それほどかけ離れた交換ではなかったのかもしれない。

工夫できるイブニングドレスを見つけるのが、一番理想的

派手なレース飾りがついたドレスも子供っぽい印象になりますから、イブニングドレスはシンプルに抑えて、アクセサリーやストールで演出しましょう。そうはいっても、いつでもどこでも着まわしというのも寂しいものです。そこでお勧めしたいのが、サテン、ベルベット、タフタ、レース等のノースリーブのフルレングス、または最近は丈は自由なのでミニなどのソワレに、同素材のイブニングジャケットというアンサンブルを持つこと。これはどんなふうにも着まわしができます。例えば下のソワレはそのままで、イブニングジャケットだけゴールド等のトリミングの入った素材を合わせたり、イブニングジャケットはそのままで、違うソワレにしたりすることもできます。ときにはフルレングスのドレスとストールだけというのも大人っぽくて素敵でしょう。そんなふうに着まわしがいろいろ工夫できるイブニングドレスを見つけるのが、一番理想的だと思います。

フォーマルなスタイルでは上着の下はシャツ

フォーマルなスタイルでは上着の下はシャツである。シャツが必要なのであって色はあらかじめ決定される。フォーマルなスタイルに似合うシャツだ。その人に黒が似合っても許されない。これは、フォーマルなスタイルが、常に時と場所を選ぶ共同体的な服で構成され、目的が単一のためである。タキシードを着てこいといわれれば、貸衣装屋で借りてくればことは済む。昼の結婚式にモーニング、夜は燕尾服を着ていけば間違いない。簡単な話である。これに対してカジュアルなスタイルはきわめて自己的で、身につける時と場所の空間的奥行きが広い。自由で自己的である分、各自の裁量に委ねられる。フォーマルなスタイルのように合理性を具備していないというより、不合理そのものである。そこが難しいのだ。難しいからこそ、ある合理性をもたせた方が、やさしく装える。私がここでブレザースタイルを特定した理由もそこにある。オフィスという枠がある限り、カジュアルウェアといえども、ある枠組が必要であろう。枠組をした分、色で装えばいい。それがカジュアルフライデイのお洒落につながる。